これから介護の仕事を始める人へ 知っておいてほしい心得

介護福祉

介護系の資格を取得して介護の仕事を始める、逆に資格はなく未経験だけれども介護現場に入るといった方もいらっしゃるのではないでしょうか。介護現場は初めての場ということで、なにかと不安になることも多いかと思います。

この記事では、新人介護職の仕事上で押さえたいことを挙げました。挙げた内容を意識して取り組むことで、業務に入った際の不安が軽減されるかと思います。

そしてぜひ、現場経験でしか得られないものもあるので怖がらず挑戦してほしいと思います。

常に意識してほしい 対するのは人 心のケアが本当の目的

介護現場へ入るにあたって一番押さえてほしいのは、それぞれの利用者様に寄り添った心のケアをするということです。

利用者様は少なからず心に不安を抱えていることもあるはずです。認知症であれば自分が自分では無くなってしまうことへの恐怖、いら立ちといったことも不安の原因としてあり得るからです。家族を忘れてしまうといった怖さもあるでしょう。

利用者様とは毎日関わります。現場環境に慣れてきて業務に追われるようになると、つい目の前の業務をこなすことを優先してしまいます。利用者様は病気になりたくてなっているわけではないです。1人1人に寄り添ってニーズや要望を聞き、利用者様の不安を緩和できる介護職を意識することが大前提です。

心のケアをするために新人にとって必要な心得

報告・連絡・相談をする

介護現場において欠かせないのは、報告・連絡・相談です。ケアの実施自体は個別で行います。しかし、日々変化する利用者様の心身状況はチームで情報共有をする必要があります。

なぜならば利用者様は、どんな些細な変化であっても容体急変をすることがあるからです。日頃から報告・連絡・相談をすることにより、医療や介護のいざというときの対応を共通認識として持ち、適切な援助につなげられます。

また、利用者様の自分らしさを守ることや自立支援の質を落とさないためのサービス提供に、情報共有は必須の材料となります。そして、医療職やリハビリ職といった他職種とも報告・連絡・相談をする機会はあるのです。避けて通れませんが、他分野の知識も蓄えられ対人援助スキルの向上に役立ちます。

自己判断で対応しない

仕事に慣れていないうちは、自分だけの判断で仕事を進めないようにしましょう。分からないことを自己流で進めると職員のみならず利用者様、ひいては利用者様の家族へ迷惑をかけます。

例えば、利用者様の状態を認識不足の時です。飲み込みの力が弱まっている利用者様に、おやつで固形物を提供して窒息させてしまったとしましょう。事故になってしまい事故を起こした介護職の専門性を問われます。同時に施設の管理責任も問われる事態に発展する可能性もあるでしょう。

介護の仕事は利用者様の状態をよく理解して個別のニーズに寄り添うこと、そして生活の質を向上させることです。自己判断で対応してしまうと求められている専門性と真逆の事態になってしまいかねないのです。

不明点はすぐに聞く

先ほどの自己判断で対応しないに通じる部分でもあります。業務の中で不明点が発生した場合、積極的に先輩職員へ質問をしましょう。

新人と言えども利用者様や利用者様家族から見れば介護職のプロです。プロとしてのサービスを提供できるよう、分からないことを率先して質問し精度を上げることを心がけましょう。

能動的に質問をすることで、先輩職員は新人のつまづきを知るきっかけにもなります。

自身の体調管理に気を付ける

介護職は身体を資本とします。夜勤などから生じる睡眠不足には注意をしましょう。睡眠不足の状態では判断を誤り、命につながる事故を起こすリスクもあります。

良質な睡眠を確保するためにお風呂に入り血行を良くする、夜勤後は遮光カーテンやアイマスクを使用するなどして安眠を促すといった工夫も大切です。

また職業上、腰を痛めやすいため日々ストレッチをすることをおすすめします。もしも腰の痛みを感じた場合、コルセットや整体に通うことも対策としては効果があるでしょう。日頃のセルフケアによって長く介護職として働く下地が築かれるはずです。

好きなことや趣味を行いストレスを発散することも心の健康に直結します。

丁寧な姿勢を心がける

業務経験の浅いうちは仕事の早さより、丁寧な仕事を意識しましょう。施設で過ごされているのは利用者様です。それぞれの利用者様にとって最適なスピードでケアをして手順を覚えていくことが大事になります。

日頃より丁寧なケアを実践することで「今日はいつもと様子が違うな。」といった観察眼を養っていくことになるのです。穏やかで丁寧だと利用者様にとっても声をかけやすいでしょう。丁寧な取り組みにより利用者様との信頼関係構築に大きな役割も、もたらせそうです。

メモの習慣をつける

現場では、介護学習した中身にはないことも多くあります。介護福祉専門校などで学んだ方であっても未知に出会う可能性は高いでしょう。

そのため、先輩職員などから教えてもらったことは必ずメモを取るようにしたほうがよいです。メモを取っておけば、後で見返せ自分のペースで学びを定着させられるといえます。

医療知識やケアマネージャーから説明される利用者様の中長期目標は、メモ内容の活きてくる場面も多いです。メモを取った後は分類ごとにノートに整理しておくと情報が引き出しやすくなります。

また身体介助は、実際に行って身体で覚えていくものです。ポイントポイントをメモに取り後で整理すると頭に残りやすくなるでしょう。

自己研鑽を怠らない

福祉業界は介護の取り組みや制度など、絶えず変化していきます。今日良しとされていたものがアップデートにより、古いものに置き換わることもあるのです。時代に即したより良いサービスを提供するために、自己研鑽をした方が良いです。

具体的な自己研鑽として、今後の自身のキャリアを考えた資格を取得してみましょう。例として認知症ケアに焦点を当てた資格などです。資格取得をすることで自身の専門性も磨かれスキルアップになるほか、質の高いケアで利用者様の要望に応えることも可能になります。

介護のプロとしてやってはいけないこと

社会人としてのルールを守らない

遅刻や無断欠勤、敬語を適切に使用しない、職場のルールに従わないといった行動はやめるべきです。介護職である前に社会人としてのルールを守らないことで、人間性を疑われることになります。

介護のお仕事は人間性を最重要視しています。利用者様だけではなく利用者様家族や時には医師とも関わるのです。倫理感と常識を持って判断していく能力は必須でしょう。

医療行為を実施する

介護職の携われる業務はあくまで『介護』です。当たり前ですが利用者様の生活の中で医療職は医療行為を行っています。
例えば糖尿病患者に対するインスリン注射や自立しての排尿困難な方に施すバルン交換といったものです。

忙しい毎日の中で利用者様から「これ(バルン)変えてくれよ。」と言われたり点滴の滴下が遅れている、しかし医療職は他対応で手を離せないといった場面も多々あります。利用者様の不快感を減らすために、穏やかに業務を乗り越えるためといった観点から「滴下を早めるだけ。」「交換くらいであれば。」と医療行為を実施するのは絶対にやめましょう。法律違反により処罰対象です。
ただし特定の条件を満たせば喀痰吸引や経管栄養といった医療行為を一部行うことはできます。

また医療知識を身に着けておくことは、急変時の対応や日々の状態観察での気づきにつながるので自己研鑽をおすすめします。

利用者様との個人的な関わり

利用者様と介護職の関係はあくまで仕事上のものです。利用者様との個人的な関わりは避けるようにしましょう。公私混同してしまうと住所や電話番号を知ってしまう可能性があります。

普段からお世話になっているからと利用者様が介護職へ金品を渡してしまうリスクもあります。知らず知らずのうちに経済的虐待になってしまったということもありますので注意が必要です。

最後に 介護職として

プロ介護職であるあなたの一言動は、利用者様の支えになりますし反対に利用者様を傷付けることもできます。
心構えは自分も老いるということです。今、当たり前にできていることは当たり前ではなく尊いものでしょう。

30代、40代、50代と年齢を重ねていくと自身の親の老いにも直面します。親の将来とも重ね合わせると利用者様に合わせたケアというものに実感が湧いてきませんか。
一言動を考えながら業務にあたるという姿勢を大切にしてみてください。そして利用者様のつらいときには寄り添い、嬉しいときには一緒に喜べる介護職になれると素敵ですね。

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