器を選んだことがない自分が、初めて下村淳さんの個展に行ってみた

ふだん家で使用している器は、実家から持ってきたものがほとんどです。

長年、使用しており、特段不便さは感じることはありません。しかし、どの料理を盛り付けるにしても器自体が長年同じため、目で見る喜びが低減していたことも事実です。

来年は引っ越しも考えています。生活が変わるタイミングに合わせて、身近なものに目が向くようになりました。そんな時に、ふと、「料理を盛り付ける器を自分で選んでみたい」「器を自分で形や色を吟味し、納得のいく答えを出す経験をしたい」そんな考えが浮かぶようになりました。

では、どんな器なら自分が惹かれるのだろう。

思考を巡らせるうちにたどり着いたのが、一つひとつ作り手の手で生み出される陶器でした。量産される器とは違い、同一のものでも色や形が微妙に異なる。その点に魅力を感じたのです。

さっそく、インターネットで陶器について検索をしてみたのです。すると、SNSで料理人の方が陶芸家・下村淳(しもむらあつし)さんの器を使用されていたことを知ったのです。画像で見た陶器に心が揺らぎ、下村淳さんおよび陶器について詳しくリサーチをしていきました。

調べていくうちに、横浜で個展が開かれているとのこと。陶器については素人ですが、「実際に手に取って見てみたい、実物を知りたい」そんな気持ちから会場へ足を運ぶことにしました。

実際に見て思うインターネットだけでは分からない作家ものの器

個展が開かれていたのは、横浜駅に直結する相鉄ジョイナスの2F『かぐれジョイナス』。

訪れたのは初日の開店直後。店内の一角を展示スペースにして、大小さまざまな器が並んでいました。平たい皿や少し深さのある器。麺鉢やマグカップなども準備されています。中には醤油を垂らすことができるような小皿も。

SNSでは何度か作品を見ていましたが、実際に目の前に並んだ器を見ると、写真とはまた違った印象を受けます。

感じたのは、一つひとつに少しずつ違いがあることでした。実際に目にすることで、より鮮明に分かるのです。

色の濃淡、形のわずかな歪み。量産された食器とは違い、それぞれに個性があるように見えます。

「同じ種類の皿でも、どれを選ぶか迷うのも楽しそうだな」と感じました。

見るだけではなく、触って分かるおもしろさ

器を手に取ってみると、見た目だけでは分からなかった感触があります。

表面は比較的なめらかなものでも、底の部分には土を感じさせるざらりとした手触り。

シンプルなもの、粉ひきと呼ばれるヒビの入ったおしゃれな柄と感じられるもの、筆のような筆跡で青黒い模様が記されている器、見比べているだけでも飽きませんでした。

「この皿には魚料理が合いそう」「これはパスタを盛ってもよさそうだな」と、自然と料理を盛り付けたときの姿を想像してしまいました。

これまでの私は、器は料理を乗せるための道具という感覚が強かったと思います。

しかし、作る料理が変わらなくても、器を違ったものにすることで、見え方が変化する。食卓そのものの雰囲気を変えられるのかもしれない。

実物を前にしたことで、そんなことを考えるきっかけを得たのです。

「器を選ぶ」という楽しみを知った

私が訪れたのは開店直後でしたが、その後も若いカップルや女性客などが展示に訪れていました。

陶器の個展というと、以前の私は少し敷居が高いイメージを持っていました。

しかし実際に行ってみると、専門的な知識がなくても、気になった器を手に取って、「これ好きだな」と感じるだけで十分楽しめます。

毎日のように使うものだからこそ、自分で気に入ったものを選ぶ。

それだけでも、普段の食事が少し楽しみになるのかもしれません。

次も新しい器を迎えるときは、値段や使いやすさだけでなく、手に取ったときに感じたことも大切にしながら選んでみたいと思います。

下村淳さんの個展は、都内や都内近郊にて行われることがあるそう。定期的に情報をチェックして開催される時期に足を運んでみるのはいかがでしょうか。

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